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『暁に祈れ』地獄(刑務所)を生き抜いたボクサーの実話!原作と映画に違いは?
地獄と呼ばれるタイの刑務所で生き抜いたボクサーの実話を元にした映画『暁に祈れ』。2018年に公開をされ、刺激的な描写で話題となり、映画サイトでも高評価を得ました。ここでは、そんな『暁に祈れ』の詳細や原作と映画の違いなどを解説いたします!
映画『暁に祈れ』をご紹介
映画『暁に祈れ』は2018年に公開をされ、刺激的な描写や重厚なストーリーが世界中で大きな話題となりました。映画『暁に祈れ』は実話を元にした原作が元ネタとなっています。
ここでは、そんな映画『暁に祈れ』の解説をお届けします!
映画『暁に祈れ』とは?
映画『暁に祈れ』は、2018年に公開をされた映画です。
米英中仏といった4か国が合作をした映画であり、監督や出演しているキャストの国籍はバラエティ豊か。
実在するイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの実体験をベースにしており、ベストセラー自伝小説を「ジョニー・マッド・ドッグ」(2010年)のジャン=スティファーヌ・ソヴェール監督が映画化をした作品。
主演には、イギリスの若手俳優ジョー・コールが起用されました。
『暁に祈れ』キャスト
映画『暁に祈れ』のキャストをご紹介します。
①ジョー・コール(ビリー役)
イギリス人ボクサーである主人公ビリーを演じたのは、イギリス人の若手俳優であるジョー・コールです。
ジョー・コールは、映画『グリーンルーム』やドラマシリーズ『ピーキー・ブラインダーズ』などに出演。本作品では、ボクサー役を熱演し、精神的にダメージを受けていき、心身ともに憔悴していく様を見事に演じています。
②ヴィタヤ・パンスリンガム(所長役)
本作品に登場する刑務所の所長役を演じたのが、タイ人俳優のヴィタヤ・パンスリンガムです。バンコク生まれのヴィタヤは、ニューヨークの大学を卒業後にタイへ戻り、俳優となります。2013年には、映画『オンリー・ゴッド』にも出演をしています。
③ソムラック・カムシン(スティン役)
ビリーのトレーナー役を務めたのが、タイ人の元ボクサー・ソムラック・カムシン。ソムラックは、アトランタ五輪ボクシング競技フェザー級において、タイに史上初のオリンピック金メダルをもたらした人物。
ムエタイ出身でもあり、ムエタイ史上最高の天才とも称されています。現在は、芸能活動を中心に活躍中。スポーツ選手出身とは思えない演技力に定評があります。
『暁に祈れ』は実話が原作
映画『暁に祈れ』は、実話が元となった作品です。
原作は、ビリー・ムーアの自伝小説である「A Prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand’s Prisons」。映画『暁に祈れ』では、数々の刺激的な描写がありますが、これも実話を元に作られたとなると、かなり衝撃的です。
原作の自伝小説に登場するビリー・ムーア本人は、実は本作品にも出演をしています。
主人公ビリーの父親役でラストシーンに少しだけ出演。本人役ではないと言え、ご本人さんが自ら出演しているのも大きな注目点ですね!
『暁に祈れ』本物の刑務所で撮影&元囚人が出演
この映画の特徴は、その刺激的な内容だけではありません。なんと、主要キャスト以外の出演者は、全員が元囚人という、異例のキャスティングなのです!
実話のリアリティを追求する監督により、劇中の囚人役には本物の元囚人を起用。クライマックスでは、3000人もの元囚人を集結させました。
また、本作品の撮影には本物の刑務所を使用。かなりのこだわりを見せています。
特に、囚人の中でも際立って印象に残るのが、顔と全身にタトゥーを入れた囚人リーダーである「ゲン」でしょう。ゲンを演じるのは、強盗罪などで8年間服役をしていた経験のある、元囚人・パンヤ・イムアンパイ。顔のタトゥーは服役中に入れたもののようです。
「人の体には、人生において負ってきたダメージや傷、過去のトラウマが刻まれていて、それぞれのストーリーが詰まっているもの。そして、囚人達のタトゥーは彼らの歩んできた旅路でもあるのです。タトゥーは明確ながらも控えめに、彼ら自身のことを表しています」
https://horror2.jp/27140パンヤは、2011年に釈放された後には俳優活動の傍ら、実業家としても成功。SNSでは200万人ものフォロワーを持つ、ソーシャルメディアの人気者でもあります。今回出演をした元囚人たちは、パンヤの人脈によって集結されたメンバー。
カンヌ国際映画祭で本作品が上映された際には、パンヤもレッドカーペットに登場し、涙を流しています。
『暁に祈れ』あらすじ
人生の再スタートを目指してタイにやってきたイギリス人ボクサーのビリー。しかし、近年は当初の目標も失い、闇試合に出場するほど落ちぶれ、ドラッグに溺れる日々を過ごしていた。
ある日、ビリーはタイ警察の家宅捜索を受け、薬物所持・使用の罪でチェンマイの刑務所に収監されてしまう。
チェンマイの刑務所は、タイでも最も悪名高い刑務所と言われており、殺人、レイプ、汚職が横行する地獄のような場所だった!
多くのタイ人囚人と共に収監をされたビリーは、タイ語もできず、看守や囚人たちと言葉も交わせない。そして、囚人たちの大げんかに巻き込まれたビリーは、凶悪犯罪者たちが集められた監房だった・・・。
囚人同士の喧嘩やレイプ、そして殺人などが日々起こる地獄のような監房で、ビリーは日々憔悴し、精神がギリギリの状態となってしまう。
そんな時、所内にムエタイチームがあることを知り、練習に参加することになったビリー。メンバーと共にムエタイの技や精神を学び、再び生きるための力を取り戻していく・・・。
『暁に祈れ』世界最悪の刑務所に収監された理由
主人公ビリーが収監された刑務所は、世界最悪の刑務所とも言われているタイの刑務所です。
レイプ、殺人、汚職が蔓延るタイの刑務所は、世界的に見ても非常に不衛生。そんな場所にビリーが収監されてしまった理由は、麻薬の所持・使用の罪で逮捕されたことがキッカケでした。
また、囚人たちの大げんかに巻き込まれたビリーは、当初収監されていた刑務所から、極悪非道な囚人たちばかりを集めた監房に移動もしています。
『暁に祈れ』の評価は?
映画『暁に祈れ』は、映画批評家からは非常に高い評価を受けている作品。
映画批評サイトとして世界最大と言われているサイトRotten Tomatoesでは、60件のレビューがあり、92%・7.4点の支持率を得ています。
とある批評家によると、「本作品は気軽に視聴できる作品とはほど遠い。しかし、ジョー・コールをはじめとしたキャストの名演のおかげで受刑者の痛ましい物語を非常に豊かなものとして観客に届けてくれる。」と語っています。
『暁に祈れ』原作と映画の違いは?
『暁に祈れ』の原作は、ビリー本人の自伝的小説。
原作では、母国イギリスでヘロインとアルコール中毒になったビリーが、再起をかけてタイに移住をした内容も描かれています。そして、プロのムエタイボクサーになりますが、チェンマイでまたまた薬物中毒になり逮捕を受けています。
そこからが『暁に祈れ』の映画通りとなっています。
映画ではムエタイとの出会いは刑務所となっていますが、実は逮捕前からムエタイと出会ってプロのムエタイボクサーとして活躍していたようですね。
また、ビリーが実際に収監された刑務所は、チェンマイではなく、バンコクにあるクロンプレム刑務所だそうです。こちらは、数多くの日本人も観光場所として訪れる、チャトチャック・ウィークエンドマーケットのすぐそばにあるようですよ。
『暁に祈れ』まとめ
映画『暁に祈れ』についてご紹介しました!
重厚で刺激的な作品ではありますが、出演者たちの名演、そして監督のこだわりで素晴らしい作品に仕上がった本作品。実話が原作と言ったところも、視聴者の心に響きます。
まだ見ていない方は、ぜひとも『暁に祈れ』をご鑑賞ください。その独特の世界観に惹き込まれますよ!